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内科08. 高脂血症
どんな病気?
  高脂血症というのは、血液中の脂質、具体的にはコレステロールや中性脂肪(代表的なものはトリグリセリド)が、多過ぎる病気のことです。「血液の中にアブラなんかあるの?」って思われますか?。じつは、血液中にはコレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種類の脂質がリポ蛋白という舟に乗って流れています。  ところが、血液中の脂肪が異常に増えても、ふつうは、痛くもかゆくもないんです。だから、自分では全然気づかないし、「高脂血症です」といわれても、それが何を意味するのかピンとこない人が多い。それで、そのまま放置してしまうかたがおおい。  じゃあ、放置したらどうなるか。増えた脂質がどんどん血管の内側にたまって、動脈硬化になってしまいます。ところが、動脈硬化になっても、まだ自覚症状がありません。ついには、心筋梗塞や脳梗塞の発作を起こして、やっと高脂血症の重大さに気づくというわけです。

疫学
  中性脂肪やコレステロールが高い高脂血症の人は、高脂血症と適正値の境界の人、つまり潜在患者も入れると、なんと2,200万人もいるんです(平成12年厚生労働省循環器疾患基礎調査)。
 さらに、国民栄養調査から見ると、男性は30代から、女性は50代からほぼ2人に1人が高脂血症の状態にあると考えられます。これはたいへんな数字なんです。しかも、自分が高脂血症であることを自覚していない人が多くて、自覚している人はわずか30%(平成11年国民栄養調査)にすぎないんです。
 また、高血圧や糖尿病に比べると、高脂血症は軽視される傾向があって、その怖さが認識されていません。「わからない」というかたも多く、高血圧や糖尿病に比べると病気の本質が知られていないことが問題です。


原因
  血液中にある4種類の脂質のうち、多過ぎると問題なのは、コレステロールと中性脂肪です。高脂血症には、
(1) コレステロールのみが多いタイプ(高コレステロール血症)
(2) 中性脂肪のみが多いタイプ(高中性脂肪血症)
(3) 両方とも多いタイプ(高コレステロール高中性脂肪血症)
の3タイプがあります。  血液中の総コレステロール、とくにLDL(悪玉)コレステロールが多過ぎると、動脈の壁にくっついて動脈が厚く硬くなります。だから、高コレステロールが動脈硬化にとって大問題なことは明らかですね。
 中性脂肪は、それ自体は動脈硬化の原因にはなりません。だけど、中性脂肪が多いと、HDL(善玉)コレステロールが減ってLDLコレステロールが増えやすくなるんです。だから、間接的に動脈硬化の原因となります。また、中性脂肪の多い人は、あとで話す「死の四重奏」と呼ばれる危険因子をいくつも持っていることが多いんですね。
 どのタイプかによって治療も違ってくるので、お医者さんは患者さんがどのタイプかを、きちんと診断して、指導や治療を行います。


症状
attention!

心当たりはありませんか?
ツボ
家族に高脂血症や動脈硬化の人がいる
肥満傾向である
高血圧または境界型血圧である
日常的にあまり歩かない
お酒をよく飲む
糖尿病である 血糖値が高め
痛風がある
肉や脂っこい食べ物が好き
女性で、閉経している
甘いものや乳脂肪製品、果物が好き
 あとで話す「家族性コレステロール」というタイプ以外は、はじめのうちはまったく症状がないんです。だから、自覚していない人が多いんですね。上のようなことにこころあたりがあれば要注意です。
 ただ、中性脂肪が極端に高い高脂血症は、急性膵炎を起こして見つかることがよくあります。急性膵炎は、急に激しく背中に広がるように上腹部痛が出現するのが特徴ですが、そのほか食欲がなくなる、嘔吐などの症状が出ることもあります。脂肪が多い食事をしたりお酒をたくさん飲んだりした後に激しい腹痛がある場合には、急性膵炎のおそれがあります。

合併症
 日本人の死因の第2位と3位を占めているのは、狭心症や心筋梗塞などを含めた心臓病と、脳出血や脳梗塞などの脳卒中だって、知っていますか。これらはどちらも、動脈硬化が原因となって起こる血管の病気です。死因の第1位はがんですが、心臓病と脳卒中を合わせると総死亡の約30%を占めるので、動脈硬化を防ぐことはとても重要です。
 さらに動脈硬化は、高血圧を悪化させたり、腎臓病などの原因となります。
 動脈硬化というのは、心臓からからだの各部分へ血液を運ぶ動脈が硬くなるものです。動脈の内側の壁にコレステロールがたまって血管が盛りあがって狭くなり、それとともに血管が硬くなってもろくなるんですね。そのため、血液が流れにくくなったり、血管に血栓(血管の成分や血管壁がはがれたものなど)がつまりやすくなるのが大問題なのです。
 さらに、高血圧を悪化させたり、腎臓病などの原因にもなります。
 動脈硬化はさまざまな危険因子が重なり合って起こります。だから、それらの危険因子を除いていけば、ある程度防げるのです。高血圧が動脈硬化の大きな危険因子の一つだということはよく知られていますが、高脂血症も重大な危険因子です。ですから高脂血症は、自覚症状はまったくなくても、早く見つけて治療することが重要なんですよ。

attention!

「死の四重奏」ご存じですか?
ツボ
肥満
糖尿病
高脂血症
高血圧症
「死の四重奏」
 虚血性心疾患や脳卒中に関して、とくに危険な因子とされるのが、上の4つです。危険因子は、重なるほど危険が高くなるのは当然ですが、これら4つはとくに「死の四重奏」として恐れられていて、これらがいずれも異常と診断された人の場合、虚血性心疾患や脳卒中になる可能性が、いずれも正常な人の約30倍以上になるといわれています。
 これらの項目に心当たりがある人は、一つずつでも減らしていく努力が大切です。


診断
 高脂血症は、家族性高コレステロール血症以外、初期には自覚症状がまったくないんですね(基本編参照)。けれど、ほかの生活習慣病もそうであるように、早く見つけて早く対処することがとっても重要です。症状のない病気を早期に発見するにはどうするかそれには無症状のうちから定期的な健康診断で調べてもらうこと。それしか方法はありません。
 1年に1回はかならず健康診断を受ける習慣をつけましょう。高脂血症の検査は、普通に行われる健康診断では必ず行いますし、ただ血液を採るだけですから、簡単です。とくに、高脂血症になりやすい人のチェックリストで該当する項目が多かった人は、忘れずに健診を受けましょうね。
 検査項目とその診断基準は、以下のとおりです。

高脂血症の検査項目とその基準値
検査項目 基準値
総コレステロール 220mg/未満
LDLコレステロール* 140mg/未満
HDLコレステロール 40mg/以上
トリグリセリド
(中性脂肪の一種) 150mg/未満

* LDLの計算式
  LDLコレステロール=総コレステロール−HDLコレステロール−トリグリセリド×0.2

 LDLコレステロールの数値は、総コレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリドの結果から算出します。しかし、LDLを血液から直接に測定する検査法もあり、こうした検査を行う医療機関も増えているんですよ。

[善玉コレステロールと悪玉コレステロール]
 コレステロールはからだによくないものだと思っている人が多いけれど、からだの細胞をつくる重要な成分で、増えすぎることが問題なんです。善玉(HDL)コレステロール、悪玉(LDL)コレステロールというのは、高コレステロールを説明するときにわかりやすいようにつけられた俗称です。
LDLコレステロールには、コレステロールを全身の細胞に運ぶ重要な役目がありますが、血中に増えすぎると、血管の内側の壁にくっついて血管の壁を傷つけたりします。一方のHDLコレステロールは、細胞内や動脈内にある不要なコレステロールを取り込んで肝臓に戻す役割を果たしています。つまり、多過ぎると害となるLDLをHDLが抱えて戻るため、動脈硬化を防ぐという意味で、HDLは善玉コレステロールと呼ばれているんですね。

 高脂血症かどうかの診断は、12時間以上食事をとらずにいたあと採血して、血中の脂質を測定するだけです。飲食物の制限は、前の晩9時までに夕食をとって、検査当日に朝食を抜くぐらいのものですよ。検査が終わればすぐに食べてもOKです。血液を採られるときは、注射針を入れる瞬間の痛みだけだから、あまり負担はないはずです。
 定期健診なら、採った血液を血液検査所に回して、いっぺんにさまざまな血液検査をしますから、特別に高脂血症のための検査というものはありません。

治療
 心臓の冠動脈の病気などの明らかな動脈硬化の病気がない場合には、高脂血症の治療は生活習慣の改善と薬物療法が基本です。
 生活習慣の改善は、血中脂質を下げるだけでなく、動脈硬化が進むのを防ぐのが目的です。だから、動脈硬化を促進するほかの要素、高血圧、耐糖能異常、肥満なども改善できるよう生活を改善します。
 そのおもな内容は、1.禁煙 2.食生活の是正 3.適正体重の維持 4.運動の増加です。
 なかでも特に重要なのが食事(食事療法)で、これは適正体重の維持とも深く関わってきます。
 食事療法は、表のように2つの段階をおって進められます。第1段階は適正な食事にすること、第2段階は、病気のタイプに応じてよりくわしく、制限が厳しくなるんですね。  第1段階を行っても血液中の脂質が目標値に達しない場合に、第2段階へと移ります。
第1段階(総摂取エネルギー、栄養素配分およびコレステロール摂取量の適正化)
1)総摂取エネルギーの適正化
  適正エネルギー摂取量=標準体重*×25〜30(kcal)
*標準体重=[身長(m)]× [身長(m)]×22
2)栄養素配分の適正化
  ・ 炭水化物:60%
・ たんぱく質:15〜20%(獣鳥肉より魚肉・大豆たんぱくを多くする)
・ 脂肪:20〜25%(獣鳥性脂肪を少なくし、植物性・魚類性脂肪を多くする)
・ コレステロール:1日300mg以下
・ 食物繊維:25g以上
・ アルコール:25g以下(他の合併症を考慮して指導する)
・ その他:ビタミン(C、E、B6、B12、葉酸など)やポリフェノールの含量が多い野菜・果物などの食品を多くとる(ただし、果物は単糖類の含量も多いので1日80〜100kcal以内が望ましい)。

  第1段階で血清脂質が目標値とならない場合は第2段階へ進む。
第2段階(病型別食事療法と適正な脂肪酸摂取)
1)高LDL-C血症(高コレステロール血症)が持続する場合
  脂質制限の強化:脂肪由来エネルギーを総摂取エネルギーの20%以下
コレステロール摂取量の制限:1日200mg以下
飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸/多価不飽和脂肪酸の摂取比率:3/4/3程度
2)高トリグリセリド血症が持続する場合
  アルコール:禁酒
炭水化物の制限:炭水化物由来エネルギーを総摂取エネルギーの50%以下
単糖類:可能なかぎり制限、できれば1日80〜100kcal以内の果物を除き調味料のみでの使用とする。
3) 高コレステロール血症と高トリグリセリド血症がともに持続する場合

  1)と2)で示した食事療法を併用する。
4)高カイロミクロン血症の場合
  脂肪の制限:15%以下

*単糖類:最も簡単な基本構成単位でできている糖類。果糖、ブドウ糖、ガラクトースなど。

(日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患診療ガイドライン」より)



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