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内科28.認知症
■ 認知症の定義
 後天的な脳の病気により正常に発達した知的機能が全般的かつ持続的に低下し日常生活に支障を生じた状態と定義されています。

■ 物忘れで発見されることが多い
 年相応の物忘れ(いわゆるど忘れ)と病的な物忘れがあります。 朝何を食べたか忘れるのは年相応の物忘れ朝食べたかどうかを忘れるのは病的な物忘れです。会った人の名前が思い出せないのは年相応の物忘れ会ったことを忘れるのは病的な物忘れです。忘れることで日常生活に支障がでる。仕事をしていると気づきやすいが、退職後や一人暮らしをしていると気づきにくく発見が遅れやすい傾向があります。

■ アルツハイマー型認知症とは
 認知症の原因の大部分(50%)を占めます。脳血管障害が30%、その他が20%です。 脳の神経細胞が変性・消滅していく退行変性疾患です。 原因は不明ですが、常染色体優性遺伝をするものもあります。 主症状は認知症であり、日常生活に支障をきたします。 経過は進行性で平均8〜12年の経過で寝たきりになります。 根本的な治療法は今のところ存在しませんが、早期診断・早期治療することで、進行を遅らせたり、症状を軽くすることはできます。

ここではアルツハイマー型認知症を中心に述べます。

 不明ですが、
1.遺伝子異常
  @βアミロイド前駆蛋白遺伝子(21番染色体)・・ダウン症との関係
  Aプレセニリン1遺伝子(14番染色体)・・家族性AD100%発症
  Bプレセニリン2遺伝子(1番染色体)
  Cアポリポ蛋白E遺伝子(19番染色体)
    E2・E3・E4 の3型、コレステロール運搬蛋白、脳血管性痴呆との関連性
  Dその他:12番染色体?、3番染色体?
2.糖尿病、高血圧などの生活習慣病
3.外傷
4.加齢
5.性格・・・融通の利かないくそ真面目な人・消極的な人
6.環境・・・閉鎖的環境
7.その他・・・アルミニウム・女性・ダウン症の家族歴
などが提唱されています。

 認知症患者さんは
現在約200万人
増加の一途をたどっています。
 認知症患者さんは
年齢とともに増加します。
90歳以上では2人に1人は認知症です。
■ 中核症状(記憶障害・認知障害・人格変化など)
 神経細胞の脱落にともなう能力の喪失です。程度の差はあれすべての患者にみられます、疾患の進行とともに悪化します。

■ 周辺症状(精神症状・問題行動)
 残存する神経細胞の障害に対する反応です。みられない患者もいます、疾患の重症度(進行)と比例しません。

■ 中核症状の経過
1.初期(健忘期) MMSE:20-30点 1〜3年 記憶(記銘力)障害、見当識障害
2.中期(混乱期) MMSE:10-20点 2〜10年 失語、失行、失認、構成障害
3.末期(臥床期) MMSE:0-10点 8〜12年 人格崩壊、無言、無動、寝たきり、
                           失外套症候群

■ 知能検査
 主に記憶力の低下を証明します。
HDS-R(改定長谷川式簡易知能評価スケール)や
MMSE(ミニメンタルテスト)などがあります。

■ 画像診断
 原因の特定および他疾患の除外をします。
頭部CT・MRI・・・脳萎縮・脳溝脳室拡大など、脳の形態的異常が見られます。
脳血流SPECT(スペクト)・・・脳血流量が落ちている部分が見られます。
糖代謝PET(ペット)・・・・ブドウ糖消費量が低下している部分が見られます。
SPECTやPETはCT・MRIにて確認される形態的異常が出現する前の早期発見が可能です。

■ 病理
肉眼的:大脳の萎縮。脳溝・脳室の拡大が見られます。
顕微鏡的:老人斑の形成、神経細胞の神経原線維変化、神経細胞の顆粒空胞状変化、神経細胞の変性・消滅、細胞構築(皮質層構造)の崩壊。海綿状変化が見られます。

1.糖尿病、高血圧などの危険因子をコントロールする。
2.社会的な活動、趣味、運動を続ける。
3.将来どう暮らしていくか家族や周囲の人と話し合う。

■ 施設入所中の認知症患者に接する基本的な心構え
 まず第一に認知症を理解することです。病気を学問的・医学的に理解しなければ、質の高い介護やケアが提供できるはずがありません。
 第二に患者さん個人を理解し人格を尊重することです。患者個人の生活史・個性・特性を理解し、人間として尊重するようにします。認知症患者さんは末期になってもプライドは保たれています。認知症があるからといって子供のように扱うのでなく、人生の先輩として敬意を持って接するべきです。身体拘束などプライドを傷つけるような行為は、よほどのことがない限り行わないようにします。
 第三は共感的・受容的態度で接することです。認知症患者さんには、過去・現在・未来という時間的つながりを失っていることが多い。またモノとモノとの空間的つながり、人と人の人間的つながりを失っていることも多い。時間、空間、人間関係が倒錯した、患者さん独自の非現実的な世界に生きています。それらをすべて受け入れ、その時間を共に生きるという態度が大切です。介護や看護という名のもとに患者さんの間違いを修正したり、怒りつけたり、権威的・教育的指導をして現実を押しつけることは百害あって一利なしです。「あの人は自分の話も聞いてくれない。自分を試すことばかりしている。怒ってばかりいる。自分をバカにしている。」と嫌われ、患者さんの心を閉ざし、情動をますます不安定にしてしまいます。共感的・受容的な態度でなければ患者さんと接することさえできないとキモに命ずるべきです。
 第四に感情面での交流を重視することです。感情はプライドとともに、認知症が進行しても最後まで残っているものです。気持ちの交流のみが患者さんの残された最後の時間を豊かにします。「息子さんが見舞いに来てくれてほんとうによかったね」などというときにも心をこめてほほえんであげてください。患者さんも笑顔になるはずです。
 第五にグループワークを取り入れることです。集団でのレクレーションや作業を通して適切な役割を果たすように誘導しましょう。役割意識を持たせて自己決定の場を提供し、グループの一員として存在が認められているという自尊心をもつと、患者さんの症状が安定します。
 第六に生活を重視することです。施設が定めた日課で流れる毎日では、何の生き甲斐も達成感もありません。人間としてふさわしい、生き生きとした張りのある生活が送れるようにしてあげることに工夫を凝らしてください。
 最後、第七に高度な臨床実践を行っている自覚・使命感を持つことです。認知症患者さんとの関係はもっとも難しい人間関係です。また治療しても改善が見込めないことの方が多い。現状維持が最終目標。すぐ目の前に死が迫っていることも多い。でももっとも困難な仕事で患者さんの残された最後の時間が豊かなものになるのです。そう考えれば、ストレスが減るはずです。

■ 施設における認知症患者のケア・介護の実際

1.環境ケア
    バリアフリー環境を整え日常生活での事故を防止する
    憩いのある環境、静かさ、広さ、日照条件、清潔などを整える

2.身体的ケア
    内科的ケア…感染症・脱水・栄養不良・心機能低下など
    外科的ケア…褥瘡など
    介護ケア …入浴・失禁対策など 
    リハビリテーション…理学療法・作業療法など

3.精神的ケア     思いやりのある声かけ
    集団療法・作業療法・レクリエーション療法
        生き甲斐をもたせる
        役割をもたせ自尊心を回復する
        周囲との関わりの中で現実性社会性を回復する
4.問題行動への対応
    言い分はすべて受け入れ、理由を探り解決をはかる
    解決困難な場合のみ薬物療法も併用する


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